ザレゴト

知らない声のする窓の向こうで
投稿日: 2025-10-21 02:05
今朝、窓の外から子どもの笑い声がした。
たぶん近くの小学校で運動会の練習をしているんだろう。
それだけのことなのに、なぜか涙が出た。

誰かが笑ってる音って、
ずっと遠くにいても届くんだね。
テレビの音よりも、スマホの通知よりも、ずっとまっすぐ。
人の声って、意外と強い。

昨日の夜、寝る前に久しぶりにニュースを見た。
社会の話題とか、国の問題とか、
いつの間にか全部“自分とは関係ない世界”になっていて、
それがちょっと怖かった。

でも、コメント欄をスクロールしてたら、
誰かが「それでも生きるしかないんだよな」って書いていて、
それを見て、ああそうかと思った。

生きるしかないんだよな。

今日は傘の代わりに、スーパーで小さな花を買った。
名前は「カスミソウ」。
値札の横に“脇役だけど長持ちします”って書いてあった。
なんか自分みたいだなって笑ってしまった。

花瓶なんて持っていないから、
昔もらったジャムの瓶に水を入れて代わりにした。
ガラス越しに光が揺れて、
その小さな影が壁に映っている。

その影を見てたら、
昔の同僚のことを思い出した。
一緒にランチしてたとき、彼女が言ってた。
「ちゃんと休むって、けっこう勇気いるよ」って。
あのときは笑って流したけど、
今になって意味がわかる気がする。

休むことは、止まることじゃなくて、
自分の足音をちゃんと聞くことなんだと思う。

私の足音は、まだ小さい。
でも確かにある。

今日、郵便受けを開けたらチラシが一枚入っていた。
近所のカフェが「週末の読書会」っていうイベントをやるらしい。
行くかどうかはまだわからない。
でも、“知らない場所のドア”が自分に向かって少しだけ開いた気がした。

誰かと話すことが怖いわけじゃない。
ただ、何を話せばいいのかが、もう少しだけわからないだけ。

でも、もし行くなら、
リンゴでも持っていこうかな。
あのときの音を、
誰かに聞かせてみたい気もする。

外はまた曇り。
赤い傘はきっと、もう別の誰かの手の中だ。
それでも私は、
今日という日をちゃんと拾い上げて、
机の上に置いた。

カスミソウがまだ揺れている。
その静かな揺れの中で、
少しだけ未来の音がした気がした。